第3弾 対談vol.3


・安藤さんは、これまでを振り返られたとき、何か転機となるようなことはありましたか?

安藤

お店で働き始めてからもずっと、漠然とこのお店を継ぐものだと感じて仕事をしていました。しかし、家族だからといって両親は決して私に甘くはありませんでした。30歳になる前には、母親に、もう辞めると言ったこともありました。私が色々と考えたうえで提案したことも「あかん!」といわれるばかりで嫌になるようなことが何度かあって。

それが、今振り返ればこんなキーマンの存在がありました。ちょうど結婚したくらいの頃ですね。何度かお誘いをいただいていた取引先の社長様と、ようやくマンツーマンで飲みに行くことがありました。その最中に、飲みながら、仕事を辞めようと考えているということをこぼしました。 そうしたら、その方は、「あなたのご両親のお話は、僕たちにはお金を払っても聞きたいと思うほどの価値があるはずだ。一度真正面から素直に聞いてみるべきだ。」という叱咤激励と共に、後日には「これを持って、一緒に飲んでみなさい。」と、お酒まで私に下さりました。

そんなことがあり、父と一緒にお酒を飲む機会を設け、そしてその時にようやく気付きました。父も2代目の身であり、私と同じ境遇を経て苦労してきたんだということを。そしてその後から、とある試みをしてみました。当面の間、親が言うことにそのまま従ってみよう。カラスは白だと言われても、「その通りです!」と言い続けるような覚悟で。

そうして3ヵ月ほどが経った頃に、両親に対してとある提案をする機会があったのですが、あっさり「ええで。」という返事だったんです。

その時に、何かこうつかんだような気がしましたね。何事にも、通さないといけない部分はある。自分のやりたいことばかりをやっても、人はついてきてはくれないんだと。そこから物事に対しての考え方が変わっていき、辞めたいと思ったことなど嘘のような今の自分がいますね。

前畑

人生の中には「キーマン」の存在が、きっと誰にもあるような気がします。安藤さんの場合は、その取引先の社長様がそうだったのかもしれませんね。

安藤

実は、その社長は、普段はそんなことをおっしゃるような方ではないんですよね。誰か、何か運命的なものが、彼の口を借りて、私に聞かせたのではないだろうかと、そんな不思議な気分に今考えてもなりますね。いずれにしても、確かに彼が私のキーマンとなられたことは間違いありません。

前畑

きっと会うべくして会う人に、会われたのですね。私もそういう出会いの力を信じています。保育士だった立場から事業を起こす身となったとき、親身になってアドバイスをくれる周りの人の言葉は絶対全部、自分のためになると信じてみることにしました。特に年上の方からのアドバイスは、本当に貴重なものばかりでしたね。そう、ツアーの時にも、地元の年輩の方々から参加者の皆さんへお話をしてもらう機会を大切にしています。

 < 1 2 3 4 5 >